CENTRIC株式会社和歌山支店 事例インタビュー
コンタクトセンター運営などを行うCENTRIC(セントリック)株式会社和歌山支店は、一人ひとりがいきいきと働き、活躍できる組織づくりを目指し、産休・育休取得推進や仕事と家庭の両立に関する相談窓口の設置、管理職・対象者向けの男性育休推進研修など、仕事と家庭を両立する社員のサポートに取り組んできました。採用力が約3倍になり、離職率を大幅に下げながら劇的な売上増を達成し続けている裏側を山下支店長と新福さんにお話を伺いました。

インタビュアー:和歌山県庁 子育て社員応援アドバイザー 大畑愼護
◎「なぜ男性育休が必要か」を理解
大畑:御社では5回にわたって管理職向け・従業員向けの男性育休推進研修などをさせていただきました。一連の取り組みの中で印象的だったことをお聞かせください。
支店長:これまで外部講師をお呼びして研修いただく機会が少なく、当初は参加者も半信半疑な様子でしたが、いざ受講するとたくさんの気づきがあり、「楽しかった」「勉強になった」という声があがりました。
男性育休に関しては、「育休を取ることが家族のためにもなるし、会社のためにもなる」という理解が深まりました。私1人ではそこまで納得感のある説明ができなかったと思うので、非常にありがたく感じています。
求人広告で育休推進や男性育休100%宣言の取り組みを紹介したところ、それを見て入社する人が増えています。
◎採用が約3倍に増加!
大畑:採用にも好影響があったということですね。
支店長:以前は1か月募集して正社員を1人か2人採用できるかどうかだったのですが、昨年6月以降は毎回4〜5人を採用できるようになりました。特に、子育てをしている方の応募が顕著に増えています。私たちの取り組みに共感していただいているのではないかと感じています。
その中の1人は面接時に「出産予定ですが、私でも大丈夫ですか?」というご相談を受け、非常に優秀な方だったので、産休を前提に入社いただきました。

新福:配属された部署は、業務の難易度が高く2〜3週間の社内研修の期間が必要とされています。それにもかかわらず、入社後1週間程度で実務に就くことができ、ベテランと遜色ない仕事をしています。現在は産休中ですが、復帰を心待ちにしています。
大畑:採用が増えたのは、何かあったときに休めるという安心感だけでなく、「どんな事情を抱えていても活躍できる」というメッセージが伝わったからだと思います。限られた時間で成果を出したいと考える優秀な人を採用できているのは、本当に素晴らしいと感じます。
支店長:昨年の4月頃までは、人が足りずに新規の仕事を受注できない状態が続いていましたが、着実に採用ができるようになり、人員も昨年当初の約60人から、年末には100名程度まで増えています。人が増えたことでオフィスを拡張し、受注も増やすことができたため、支店の業績も劇的に改善しました。

◎「お互いにフォローし合えるチームづくり」が進み、離職者ゼロを更新中
大畑:職場内では、働き方や行動にどのような変化が生まれていますか?
支店長:コールセンターの運営は「10席(人)で9時〜18時」といった具合に1日の契約が決められています。産休や育休の場合は計画的に対応できるのですが、突発的な休みが出ると調整に苦慮したり、クライアントにお詫びしたりする必要が生じます。
一方で、子育てをしている社員が突発的に休むのは、やむを得ないことでもあります。以前は私を含めた管理者の思考が「突然休まれたら困る」でストップしていましたが、現在は「休みが出ることを踏まえて現場をどう回していくか」を柔軟に考えられるようになりました。
象徴的な例として、子育て中の社員が多いチームでは、休み明けの人が出勤したとき、休んだことを後ろめたく思わせないためにはどうしたら良いかをみんなで考えて、「翌日必ず全員がその人に声を掛ける」というルールにしています。
新福:チームの管理者が「自分1人が動くのではなく、チームのみんなで動くことが重要である」と気づき、誰が休んでもお互いにフォローし合えるチームづくりに取り組んだことが大きな変化につながったと思います。
ほかにも、例えばシングルマザーの新人の隣席にシングルマザーの社員を置くことで、オペレーター同士で世間話や相談がしやすい環境づくりも行っています。そのチームは業務内容が難しく、以前は離職者が多かったのですが、管理者がさまざまな取り組みを始めてから、離職者ゼロを継続中です。

◎離職者ゼロを維持するための工夫
大畑:私が初めて伺ったときには、オペレーター同士の会話がないとのことでしたが、劇的な変化ですね。離職者ゼロというのも大きな成果だと思います。
新福:基本的に入社後半年は研修期間となっていますが、おおよそ4か月目ぐらいで難しさを感じ、離職するケースが少なくありません。そこで先ほどお話したチームでは、新人に対して先輩社員を1人ずつサポーターとしてつけました。研修する際も、教え方が合っているかどうかを確認するため、講師役と新人の両者から話を聞き、フィードバックを踏まえて研修内容をカスタマイズしています。
実際に「研修が難しすぎる」と悩む新人がいたのですが、チーム全員でフォローした結果、少しずつ悩みが解消され、最近では顔色が明るくなったということもありました。
支店長:コールセンターの離職率は30〜40%程度といわれる中で、チームの離職者ゼロを継続している状況は誇って良いと思います。今後は男性の育休取得者を増やすことにも注力したいと考えています。
大畑:誰が休んでも回る職場にする取り組みは、お子さんを持つ方に限った話でなく、独身の方も休める職場づくりにつながります。独身の方も大切なライフがあるので、全員が「自分の人生も大切にしてくれる」と思える職場になれば、その先に男性育休100%も自然と見えてくるのではないでしょうか。

◎介護の話題も出しやすい職場に
大畑:お二人の中で起きた変化についてもお聞きしたいと思います。
支店長:仕事と家庭の両立に関する正しい情報を把握することで、私自身が支店内、もしくは社内で発信するときに自信を持って伝えられるようになりました。たとえば支店内で定期的に育休推進の周知をするときにも、不安がなくなりました。
新福:産休や育休、介護休業は「取る人がいても仕方ない」という意識から「取らなければいけない」という意識へと変わりました。特に介護休業については、働き続けるために必要な制度であることを強く認識しました。実は研修の直前に、長年勤務された方が介護離職をするという出来事があり、「働き方を変えれば良かったのでは?」「本当に辞めることが本人のためになったのか?」と考えさせられました。
弊社は真面目な方が多いので「介護を理由に休んで迷惑をかけたくない」という意識があったのですが、全員が知識を得たことで、今後は復職を前提にした面談がしやすくなったと思います。
支店長:職場で介護の話題を出しやすくなりましたし、仕事と介護の両立に向けたアドバイスができる状態になりました。私たちは入社した方に1日でも長く働いていただくという方針を掲げており、休む期間があっても復帰できる働き方を実現したいと考えています。
◎これから取り組む人へのメッセージ
大畑:最後に、これから取り組みを始めようと思っている県内企業の皆様に応援メッセージをお願いします。
支店長:当社も1年前までは採用難の状態で、人口減少、労働世代の縮小が原因で仕方ない、と考えてしまう面がありました。
その頃、募集の内容を工夫したり、多少なりとも賃金UPをしたりしても効果は限定的でした。
今回、大畑さん含め和歌山県庁と一緒に取り組みを進めさせていただき、ここまで劇的に採用力が改善するとは私たちが本当に驚いていますし、優秀で働きたい方々はまだまだ和歌山にもたくさんいると実感しています。
様々な難しい事情を抱えている企業も多いと思いますが、県内の働きたい方々のためにも働く世代、子育て世代を一緒に応援し、和歌山を盛り上げていきましょう。
新福:私たちのコンタクトセンターでは、さまざまな事情を抱える方が仕事をしていますが、だからこそ、この取り組みがいろいろな場面で生きると思っています。もし「いろいろ働き方の人がいるから難しい」と考える方がいらっしゃるなら、新しい発見につながる可能性が高いので、ぜひチャレンジすることをおすすめします。
大畑:ありがとうございました。

